東京藝術大学 アーカイブセンター

草川宏作曲 歌曲《黄昏》

草川宏作曲 歌曲《黄昏》

草川 宏   Hiroshi KUSAKAWA

大正10(1921)年10月28日東京生まれ。昭和15(1940)年4月東京音楽学校予科入学。翌年4月 本科作曲部。信時潔、下總皖一、橋本國彦、H. フェルマーに学び 、 同18年9月繰上げ卒業後、研 究科に進む。卒業作品《奏鳴曲イ長調》は大島正泰により演奏された。同19年6月15日入隊。 翌20年6月2日フィリピン・ルソン島バギオにて戦死。演奏可能な20数曲が確認される。曲を 書き上げると弟(草川誠氏)にピアノで弾いて聞かせては批評を求めたという。召集される 前の半年分の日記が残されており、レッスンで注意されたこと、島崎藤村の歌曲集を出版す る夢、食料不足の日常、ラジオで聞いた演奏曲目や大本営発表等が書き留められている。作 曲家の父・草川信をはじめ、その長兄・草川宣雄、三兄・草川友忠、そして宏の従兄・草川啓も 皆東京音楽学校の卒業生であった。

資料紹介

詩は島崎藤村詩集『落梅集』(明治34年)より。譜面の日付「2604.5.4作」は、召集の一ヶ月前である。日記には、昭和19年5月5日「〈黄昏〉完成」、同月18日「難波さんから今日学校で僕のリードを明日見せて呉れと頼まれたので、一日掛かつて〈浦島〉と〈黄昏〉を清書した」。日記で名前に「さん」を付けるのはたいてい上級生である。令弟誠氏によれば、「難波さん」は従兄の草川啓と同期声楽部の難波千鶴子で、宏氏の曲を気に入っていたとのこと。草川は《黄昏》の演奏を聴いたのだろうか。静けさの中に感動をこめた美しい歌曲。
草川誠氏所蔵 

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(クレジット: 東京藝術大学 音楽学部大学史史料室)
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