『外國人教師關係書類』(明治18年〜昭和24年)の公開について
『外國人教師關係書類』について
大学史史料室には、明治18(1885)年から昭和24(1949)年までの『外國人教師關係書類』文書綴5冊が保管されています。東京藝術大学音楽学部の前身である音楽取調掛と東京音楽学校は、創立時より外国人教師を積極的に雇用し、その数は43名にのぼります。本史料によって同校に、いつ、どの国から、どのような専門性をもった人物が、どのような条件で招聘されたのかを知ることができます。『外國人教師關係書類』は音楽学部の理解に必須の史料であるとともに、近代日本の国際関係、音楽教育、文化政策を色濃く映しています。
全5冊の史料タイトルは下記の通りです。
『外國人教師關係書類 自明治十八年至明治三十二年 音樂取調掛 東京音樂學校』
『外國人教師關係書類 自明治三十二年至大正十一年年 東京音樂學校』
『外國人教師關係 自昭和十三年至昭和二十四年 東京音樂學校』
5冊はいずれも『東京芸術大学百年史』(1987〜2004刊行)の編集作業のため電子複写され、内容メモが作成されていました。今回あらためて史料画像と照合できる内容リストを作成しました。ただし5冊のうち「明治18年〜32年」は、百年史編集後に原課に戻されていたところ所在不明となったため、複写物をデジタル化しました。どうぞご了承ください。
本作業には音楽学部教育研究助手の澤原行正、吉田学史、仲辻真帆、金持亜実、本学大学院音楽研究科博士後期課程の内藤真帆があたり、株式会社堀内カラーにご協力いただきました。コンテンツ作成と公開には嘉村哲郎芸術情報センター助教があたりました。(敬称略)
記載される外國人教師たち
5冊に含まれる教師は、着任順に下記のとおりです。
氏名 | 原語綴り | 在職時期 | 専門・担当 |
ルーサー・ホワイティング・メーソン | Luther Whiting Mason | 明治13~15 | (音楽取調掛) |
ギョーム・ソーブレー | Guillaume Sauvlet | 明治19~21 | 唱歌ほか |
ヂクソン夫人 | Mrs. Dixon | 明治21~22 | 英語 |
ル―ドルフ・ヂットリヒ | Rudolf Dittrich | 明治21~27 | ヴァイオリンほか |
ヨハンナ・ベルタ・マリア・チーチェ | Johana Bertha Maria Tietzé | 明治22~24 | 唱歌 |
ヴィルヘルム・ツィンマーマン | Wilhelm Zimmermann | 明治23~26 | 不明 ※『百年史』記載無 |
ラッフェール・フォン・ケーベル | Raphael von Koeber | 明治31~43 | ピアノ、音楽史 |
ノエル・ペリ― | Noel Peri | 明治32~37 | オルガンほか |
アウグスト・ユンケル | August Junker | 明治32~大正1 | 唱歌ほか |
アンナ・ラール | Anna Laehr | 明治33~38 | ピアノ |
ヘルマン・ハイドリッヒ | Hermann Heydrich | 明治35~42 | 管弦楽指揮法ほか |
シャロッテ・フレック | Scharlotte Fleck | 明治40~41 | 独唱歌、声音訓練 |
ハインリヒ・ヴェルクマイスター | Heinrich Werkmeister | 明治40~大正10、昭和6~11 | チェロほか |
ルドルフ・ロイテル | Rudolph Reuter | 明治42~大正1 | ピアノ・作曲 |
ハンカ・ペッツォルト | Hanka Petzold | 明治42~大正13 | ピアノ、独唱歌 |
パウル・ショルツ | Paul Scholz | 大正2~11 | ピアノ |
グスタフ・クローン | Gustav Kron | 大正2~14 | ヴァイオリンほか |
ヨゼフ・ホルマン | Joseph Hollmann | 大正12年度 | チェロ |
ウィリー・バルダス | Willy Bardas | 大正12年度 | ピアノ |
マルガレーテ・ネトケ=レーヴェ | Margarete Netke-Loewe | 大正13~昭和6、昭和21~25 | 唱歌 |
フェリックス・ディック | Felix Dyck | 大正14年度 | 管弦楽ほか |
ヨゼフ・カガノフ
(レオニード・カガノフ・コハンスキー) |
Joseph Kaganoff | 大正14~昭和6 | ピアノ |
チャールス・ラウトルップ | Charles Lautrup | 大正15~昭和6 | 唱歌・管弦楽 |
ローベルト・ポラック | Robert Pollak | 昭和5~12 | ヴァイオリン |
クラウス・プリングスハイム | Klaus Pringsheim | 昭和6~12 | 作曲法、合唱歌、管弦楽 |
レオ・シロタ | Leo Sirota | 昭和6~19 | ピアノ |
マリア・トル | Maria Toll | 昭和7~13 | 独唱歌 |
ヘルマン・ヴーハープフェニヒ | Hermann Wucherpfennig | 昭和7~25 | 独唱歌 |
セロン・エルワース・ジョンソン | Theron Ellsworth Johnson | 昭和11~12 | トロンボーン、サキソホーン、クラリネット |
パウル・ワインガルテン | Paul Weingarten | 昭和11~13 | ピアノ |
ウィリー・フライ | Willy Frey | 昭和11~18 | ヴァイオリン |
ワルター・シュレーター | Walter Schroeter | 昭和12年度 | ホルン |
ハンス・シュヴィ―ガ― | Hans Schwieger | 昭和12~13 | 作曲法、合唱、管弦楽 |
ローマン・ドゥクストゥルスキー | Roman Dukstulsky | 昭和12~18 | チェロ |
アレキサンダー・モギレフスキー | Alexander Moguirewsky | 昭和12~19、23~24 | ヴァイオリン |
レオニード・クロイツァー | Leonid Kreutzer | 昭和13~19、21~25 | ピアノ |
ヘルムート・フェルマー | Helmut Fellmer | 昭和13~20 | 作曲、合唱、管弦楽 |
リア・フォン・ヘッセルト | Ria von Hessert | 昭和13~20 | 唱歌 |
マンフレッド・グルリット | Manfred Gurlitt | 昭和14~18 | 作曲、ピアノ、合奏 |
ディーナ・ノタルジャコモ | Dina Notargiacomo | 昭和15~19 | 唱歌 |
付記
『外國人教師関係書類』に記載がなく、『東京芸術大学百年史 東京音楽学校篇』第1巻および第2巻に記載されている教師は下記の4人。
氏名 | 原語綴り | 在職期間 | 専門・担当 |
フランツ・エッケルト | Franz Eckert | 明治16~19 | (音楽取調掛) |
エミリー・ソフヒャ・パットン | Emily Sophia Patton | 明治27年度 | 唱歌ほか |
アダー・ビートリース・ブロックスハム | Ada Beatrice Bloxham | 明治27~28 | 唱歌、和声 |
マリー・カイゼル | Marie Kayser | 明治37~38 | 独唱歌 |